しいたけの独り言 ~本日のゆめの話~
登場人物
●向かいの学校の生徒
●自分
私は何かから逃げていた。それが何かはわからない。
そして誰にも姿を見られてはいけない。そんな気がした。
私は入り組んだ団地の中をさまよっていた。この団地は高台にあるようで、見晴らしがよかった。平日なのだろうか、人はあまりいない。
人目を避けるように、団地の中をくねくねと曲がりながら歩いた。
初めて来る団地のはずなのにどこか見覚えがあった。
それにしてもこの団地はかなり広い、歩いても歩いても団地が続いていた。
時折、ガチャと玄関が開く音がすると姿を見られまいと別の道を選んだ。
ここまでは、まだ誰にも見られていない。
どのくらい歩いたかわからない。くねくねと曲がりながら団地の中をさまよっていると、団地の端の方にやってきた。そこには団地に沿ってフェンスがあった。
やはりとても見晴らしがいい。向かいには学校があった。こちらから廊下が見えた。生徒たちが廊下を歩いたり、友達同士で話をしているのが見えた。休憩時間中なのだろうか、なぜだか私は目が離せなくなった。
私がしばらく見ていると、ひとりの生徒がこちらに気付き、私を指さした。
私は咄嗟に隠れた。しまった、これまで誰にも姿を見られなかったのに。完全に油断をした。私はまた、人目を避けるように団地の中をさまよった。
今の私たちの生活は、街の至る所に監視カメラが設置され、みながスマートフォンを持ちSNSなどが普及した。それによって安全になったり、便利になったりしている。しかし、その反面いつも誰かに監視されているような錯覚にも陥ってしまう。便利なものに頼るのもいいが、たまにはそのようなものから離れ、人目を気にせずさまざまなものから心身を解放して、リフレッシュすることが必要だと感じた今日この頃だった。