セロトニンとオキシトシン
幸せホルモン
私は制服を着て学校にいた。
私が通っていた学校とは違う、見たことがない学校だった。
でもどことなく懐かしかった。
この懐かしさは、学校という場所からくるものではなく、おそらく学生生活という状況からだろうと思った。
次は体育の授業だ。直感でそう思った。
来たことがないはずの学校なのだが、私の体は自然と体育館へと向かった。
次の瞬間私は体操服に着替えて体育館にいた。
ひとりの友達が声をかけてきた。
見覚えのある顔だ。私の高校の時の同級生のT君だ。
当時はそこまで仲は良くなかったが、この夢の中ではとても仲が良かった。
その証拠にT君を見て、私はとても安心していた。
持久走の練習だろうか、クラスのみんなで体育館をグルグルと反時計回りに走った。
体育の授業はあっという間に終わった。
私は着替えてT君と教室に戻った。
私の席は教室の真ん中の列の一番後ろだった。T君は私のひとつ前に座った。
私が席に着くと私の右となりに女の子が座った。
横に座った女の子を見ると、私は目を疑った。なんと私のとなりに座るその子は、私が学生時代長年片思いをしていた初恋のSちゃんだった。
夢だということはわかっているが、私はとても嬉しい気持ちになった。
Sちゃんは私に笑顔を見せると仲良さげに話しかけてきた。
当時はSちゃんとは気さくに話ができる仲ではなかったが、この夢の中では違った。
Sちゃんが私に気を許しているのがとてもよく分かった。
しばらくすると先生がやってきて、授業が始まった。
授業が始まって少し経つと、私はお腹が急に痛くなった。
ズキズキというよりは重くズーンとするような感じだった。
私の異変にSちゃんが気付き、小声で声をかけてくれた。
私がお腹が少し痛いことを伝えると、Sちゃんがそっと私のお腹に左手を当て優しく擦ってくれた。
少し痛みが和らいだように感じた。なんだこの幸せな状況はと思った。
もはや授業どころの騒ぎではなかった。
夢だとわかっているけど覚めないでほしいと思う今日この頃だった。